ダニエル・カマルゴ・バルボサ
Daniel Camargo Barbosa (エクアドル)


 

 エクアドルの事件である。
「ふ〜ん、南米かあ。知らんなあ」
 などと寝っ転がりながら参考文献を読んでいたら「71件の殺人を自供」のところで吃驚して飛び起きてしまった。いるところにはいるもんだねえ、鬼畜が。この後、さらに驚くべきオチがあるのだが、それは最後のお楽しみに取っておこう。

 このダニエル・カマルゴ・バルボサという男、故国コロンビアで、9歳の少女を強姦して惨殺した罪で有罪を宣告されていた。物語のふりだしの時点で既に殺しているのだ。そして、1986年に脱獄してエクアドルに渡り、その上で「71件の殺人を自供」するのである。唖然とするほかない。
 エクアドルの港湾都市、グアヤキルだけでも、14ケ月に55人の少女が行方不明になっていた。その多くは遺体が発見されていないが、見つかった遺体は、正視に耐えないほどのありさまだった。鉈のようなもので切り刻まれていたのである。3ケ所の犯行現場にはキャンディの包み紙が残されていた。下手人はキャンディで少女たちを釣っていたのだ。

 1988年6月、12歳のグロリア・アンディーノの遺体がマングローブが生い茂る湿地で発見された。彼女の手にはまたしてもキャンディの包み紙が握られていた。これには下手人の指紋が残されていた。それは脱獄中のバルボサのものだった。
 ほどなく現場付近で挙動不審の男が職務質問された。彼こそがバルボサだった。そのポケットには少女の写真が入っていた。それは行方不明中の少女のものだった。

 追求の結果、バルボサは犯行を認めた。
「処女がいいんだ。泣きわめくからね」
 私は友人宅で「召し使い」とかいうエロゲームをやらせてもらったことがある。処女を調教していくゲームである。「痛い、痛い」と泣きわめくのだ。
「これは萎えるだろう」
「うん、萎える。でも、調教後はいい感じになる」
 しかし、バルボサは「調教後のいい感じ」はどうでもいいのだ。「痛い、痛い」がいいのである。私にはさっぱり判らない。

 さて、いよいよオチである。
 公判で犯行を饒舌に語ったバルボサは、たった16年の懲役刑を宣告されるに留まった。エクアドルでは、これが刑の上限なのだそうだ。開いた口が塞がらない。ロリコン・キラーはエクアドルにレッツ・ゴー。


参考文献

『連続殺人紳士録』ブライアン・レーン&ウィルフレッド・グレッグ著(中央アート出版社)


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