ゲオルグ・カール・グロスマン
George Karl Grossmann (ドイツ)



ゲオルグ・カール・グロスマン

 1921年8月、ベルリンの或る下宿の家主が、間借人の部屋から女の凄まじい悲鳴が聞こえたと通報した。駆けつけた警官が見たものは、ベッドに縛りつけられた、まだ生暖かい少女の死体だった。

 その部屋の間借人、ゲオルグ・カール・グロスマンは生来の変質者だった。彼は子供の頃から小動物を解体して過ごした。そして、その度に性的な快感を覚えた。最初の性交相手は鶏であり、その後、あらゆる動物と契りを結んだ。射精すると殺害し、調理して舌鼓を打った。つまり、彼にとって性欲と食欲は同じことなのである。

 やがてドイツが第一次大戦に破れ、食用の動物がままならなくなると、グロスマンは獲物を人間に変えた。彼にとって人を殺すことは、糧を得るための当然の行為だった。
 グロスマンの獲物はいつも浮浪者だった。仕事と泊まる場所を探すホームレスの女は街にうようよしていた。中には春を売る者も多くいたことだろう。そんな訳だからグロスマンは獲物に不自由することはなかった。彼は毎日のように女を連れ込み姦淫し、飽きると殺して解体した。自らも食べたが、残るとこれを売り歩いた。その肉は闇市に卸されホットドッグとなった。そして、そのホットドッグは、グロスマンが女を釣る餌としても用いられた。
 グロスマンの犠牲者の正確な数は不明であるが、50人は下らないとみられている。

 捕らえられたグロスマンは、当然の如く死刑を宣告された。判決を聞いて彼は大声で笑い出したが、これは躁病の発作であったらしい。独房で鬱病も併発した彼は、ズボン吊りで縊死した。


参考文献

『連続殺人紳士録』ブライアン・レーン&ウィルフレッド・グレッグ著(中央アート出版社)
『カニバリズム』ブライアン・マリナー著(青弓社)
『死体処理法』ブライアン・レーン著(二見書房)


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