カールトン・ゲイリー
Carlton Gary
a.k.a. The Stocking Strangler (アメリカ)



カールトン・ゲイリー

 1977年から78年にかけて、ジョージア州コロンバスでは「ストッキング・ストラングラー」と呼ばれる連続殺人犯が暗躍していた。

 1977年 9月16日 ファーン・ジャクソン(60)
       9月24日 ジーン・ディマースタイン(71)
      10月 2日 フローレンス・シャイブル(89)
      10月 6日 マーサ・サーモンド(69)
      12月29日 キャスリーン・ウッドラフ(74)
 1978年 2月12日 ミルドレッド・ボウロム(78)
       4月20日 ジャネット・コウファ(61)

 犠牲者はいずれも高齢の白人女性で、一人暮らしの自宅で襲われて、自らのストッキングで絞殺されていた。場合によっては強姦もされていた。相手はおばあちゃんである。なんとも物好きな犯人だ。熟女好みにもほどがある。

 犯人は1978年2月12日に未遂事件を起こしている。74歳の未亡人を襲ったものの撃退されたのだ。勇敢なおばあちゃんである。そして、その後に犯人は性懲りもなく、100mと離れていない場所でミルドレッド・ボウロムを襲って目的を遂げたのだ。

 勇敢なおばあちゃんの証言から、犯人が黒人であることが報じられると、事態は新たな展開を迎えた。「悪の力(The Forces of Evil)」と名乗る「白人自警団」が地元警察にこのような声明文を送りつけたのだ。
「ストッキング・ストラングラーを早く逮捕しなければ、監禁している黒人女性を殺害する」
 そして、3月30日、現実に黒人女性の遺体が発見されて、話がややこしくなってしまったのだ。さながら黒人と白人の殺し合いの様相と呈して来たのである。
(なお、この「悪の力」についてはウィリアム・ハンスの項で詳述する)

 結局、「ストッキング・ストラングラー」が逮捕されたのは1984年5月3日になってからだった。実は警察は目撃者の証言から犯人の目星をつけていた。カールトン・ゲイリー。1952年生まれのこの男には、ニューヨーク州オールバニで2人のおばあちゃんを強姦した前科があった。うち1人を絞殺していたが、ゲイリーは責任を全て共犯者に押しつけて、てめえはまんまと殺人の罪から逃れていたのだ。
 逮捕は時間の問題だったのだが、危険を察知したゲイリーに一足先にトンズラされてしまう。全く逃げ足の速い男である。かくしてジョージア州アトランタで身柄を押さえるまで6年もかかった次第である。

 なお、ゲイリーは諸々の罪で有罪となり、死刑を云い渡されたわけだが、その後も再審を争っていたため、刑は未だに執行されていない。

(2009年4月5日/岸田裁月) 


参考文献

『連続殺人紳士録』ブライアン・レーン&ウィルフレッド・グレッグ著(中央アート出版社)


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