ランディ・クラフト
Randy Kraft (アメリカ)



ランディ・クラフト

 1970年代のカリフォルニア州には3人の「フリーウェイ・キラー」がいた。ウィリアム・ボーニンパトリック・カーニー、そして、このランディ・クラフトである。いずれもゲイで、犠牲者は若い男性に限られ、遺体をフリーウェイに遺棄していたという点で共通している。そして、クラフトの場合、犠牲者の殆どが性器を切断されていた。黙秘を貫いているために、その動機は定かではない。単なるサディストなのかも知れないし、ゲイであることに罪悪感を抱き、相手の性器を切断することで女性に変えていたのかも知れない。いずれにしてもトンデモない野郎である。16件の殺人で有罪となり死刑を宣告されたが、他にも51件への関与が疑われている。〆て67人。鬼畜とはまさにこいつのことだ。

 彼の逮捕は全くの偶然だった。1983年5月14日、警邏中の巡査が蛇行運転する車を見咎め、追跡して停車を求めた。男の名はランディ・クラフト。38歳のコンピューター・プログラマーだ。車内を覗き込んだ巡査はギョッとした。同乗者の男が泡を吹いて倒れているではないか。その時点で既に息をしていなかった。検視の結果、トランキライザーの過剰摂取に基づく中毒死であることが判明した。
 この時に逮捕されていなければ、犠牲者はおびただしい数に及んでいたことだろう。なにしろクラフトは仕事柄、出張が多く、犯行はカリフォルニアに留まらず、ミシガン、オレゴン、オハイオ、ワシントン、ニューヨークと極めて広範囲に及んでいたのだ。

 なお、クラフトは現在もなおサン・クエンティンの死刑囚監房に収容されている模様である。同僚には「フリーウェイ・キラー」仲間のウィリアム・ボーニンがいたが、彼の方は1996年2月23日に刑が執行されている。

(2009年4月3日/岸田裁月) 


参考文献

『連続殺人紳士録』ブライアン・レーン&ウィルフレッド・グレッグ著(中央アート出版社)


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