レスリー・ローウェンフィールド
Leslie Lowenfield (アメリカ)


 

 1982年8月30日午後5時30分頃、1人の男がルイジアナ州マレロのロビンソン・アヴェニューにタクシーで乗りつけた。その手には真新しい22口径のライフルが握られていた。男は軒先でポーカーに興じる連中に注意を払いながら、つかつかつかと一軒の家に立ち入ったかと思うと、続けざまに以下の5人を射殺した。

 シェイラ・トーマス(27)
 カール・オズボーン(33・シェイラの内縁の夫)
 シャンテル・オズボーン(4・カールの娘)
 マートル・グリフィン(44・シェイラの母)
 オーウェン・グリフィン(45・シェイラの継父)

 胸を撃たれたマートル以外は、いずれも頭を撃たれていた。警察が現場に駆けつけた時には、幼いシャンテルだけはまだ息をしていた。しかし、治療の甲斐なく、間もなく病院で死亡した。

 現場を捜索した警察は、シェイラのベッドの下から凶器のライフルを発見した。奇妙なことに、銃床に「シェイラ・トーマス」の名前がいくつも書かれている。また、彼女の寝室には1冊のノートが落ちていた。おびただしい数の殺人予告が書き込まれている。おそらく犯人の落とし物だろう。
 関係者への聞き込みにより、シャイラのかつての恋人レスリー・ローウェンフィールドが容疑者として浮上した。ガイアナ出身のこの男は、別れた後もたびたび復縁を迫り、叶わぬと悟るや一家を脅迫し始めたという。

 1982年10月5日、ローウェンフィールドは逃亡先のブルックリンでFBIに逮捕された。取調べにおいて、一家の殺害を認めたものの、幼いシャンテルまで殺したのは本意ではなかったと釈明した。
「カールがあの子を盾にしたのです。まったく酷い父親ですよ」

 裁判において、ローウェンフィールドは一転してアリバイを主張したが聞き入れられず、5件の殺人で有罪となり、死刑を云い渡された。そして、1988年4月13日に電気椅子により処刑された。

(2010年1月20日/岸田裁月) 


参考文献

『THE ENCYCLOPEDIA OF MASS MURDER』BRIAN LANE & WILFRED GREGG(HEADLINE)


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