1938年2月6日、オックスフォード大学内のウィクリフ・ホールの屋根の上で、同ホールの給仕をしていたハロルド・マシューズ(16)の全裸死体が発見された。直接の死因は紐による絞殺だが、体中が無惨に切り刻まれている。常人の犯行とはとても思えなかった。
間もなく同大学の学生、ジョン・フィリップス(21)が犯人として名乗り出た。彼はケンブリッジのセルウィン・カレッジを卒業後、オックスフォードに進学し、宣教師となるために神学を学んでいた。そんな人物が何でまた猟奇殺人に手を染めたのだろうか? フィリップス曰く、
「如何にしたらより満足のいく方法で人を殺せるのか試したかったのです」
フリップスは真面目な学生として知られていた。しかし、真面目過ぎるが故にトンチンカンな振る舞いも多く、周囲から疎まれていた。取り調べにおける言動も支離滅裂で、精神鑑定を受けさせたところ、案の上、統合失調症と診断された。
かくして、ジョン・フィリップスは「有罪だが精神異常」との判決を下されて、精神医療施設に収容された。その後のことは不明である。
(2012年11月1日/岸田裁月)
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