チャールズ・アンドリュー・ウィリアムス
チャールズ・アンドリュー・ウィリアムス（通称アンディー）は１９８６年２月８日、メリーランド州フレデリックで生まれた。
陸軍に勤務していた母親のリンダは、アンディーがまだ３歳の時に中東に赴任した。そして、そのことが切っ掛けで両親は離婚した。５歳年上の兄、マイケルは母親に、アンディーは父親のジェフリーに引き取られた。
生まれ故郷でのアンディーは明るく元気な少年だった。リトルリーグやバスケットクラブで活躍する人気者だ。ところが、１９９９年８月にカリフォルニア州に移住してからは状況は一変した。田舎者呼ばわりされて同級生からイジメられたのだ。
それでも、父親の実家があるトゥウェンティーナイン・パームスにいた頃はまだマシだった。ブライアン・バーデットという親友に巡り会えたからだ。しかし、１年後には彼とも別れなければならなくなった。父親が実家から独立してサンティーに移住したからだ。転入先でのサンタナ高校では以前にも増してイジメられた。ジョックたちに「ひ弱なチビすけ」と馬鹿にされたのだ。故郷では人気者だったのに…。
そんな折り、アンディーは訃報を知らされた。親友のブライアンがバスの事故で死亡したというのだ。それは２００１年２月７日、つまりアンディーの誕生日の前日のことだった。この時、彼の中で何かが壊れたことは間違いない。以降、彼はコロンバイン高校事件について言及することが多くなった。確かに何かを企んでいた。
２００１年３月５日月曜日、アンディーはいつものようにサンタナ高校に登校した。そして午前９時２０分頃、父親から無断で拝借した２２口径のリボルバーを携えて男子トイレに侵入し、そこにいたブライアン・ザッコー（１４）を射殺した。銃声は学内に響き渡った。はて、何事ぞと現場に駆けつけたランディー・ゴードン（１７）が次の犠牲者となった。
アンディーはトイレと廊下を行ったり来たりしながら発砲を続けた。これにより、上の２人が死亡し、１３人（うちの２人は教員）が重傷を負った。
最終的にアンディーは、現場に駆けつけた警官に、トイレの床でひざまずいているところを逮捕された。自殺するつもりだったが、出来なかったらしい。警官は詰問した。
「どうしてこんなことをしたんだ！」
アンディーは答えた。
「もうイジメには堪えられなかったんです」
当時１５歳のアンディーは成人として裁かれて、５０年以上の終身刑を宣告された。彼の仮釈放が認められるのは２０５２年以降である。
（２０１３年１月１４日／岸田裁月）