第26話

 直径2メートル、全長50メートルに及ぶ巨大なちんぽこが、むしゃぶろう目がけてやって来た。ゴー、という風を切る音とともに。もうあと数秒でそのちんぽこはむしゃぶろうの全身を確実に打ち砕くであろう。
 むしゃぶろうの頭の中には「走馬灯」が浮かんでいた。
 人は死と直面したとき、それまでの人生が走馬灯のように浮かんでは消えるという。その間、時間はスローモーションのようにゆっくりと進み、わずか数秒が5分にも6分のも感じられるという。
 しかし、むしゃぶろうのそれは違っていた。
 むしゃぶろうの脳裏に去来したものは、走馬灯のように浮かんでは消える過去の断片ではなく、走馬灯そのものだった。それと、その文字だった。

「走馬灯」って字はこれでよかったかな?。

 そんなことを思いながら、むしゃぶろうは冷静に、この危険から逃れられる場所を模索していたのだった。むしゃぶろうはそのちんぽこの根元のほうにむかっての駆け出した。
 ビンラディンは正面から向かってくるむしゃぶろうを睨みつけた。
「小僧め!」
 ビンラディンが自らのちんぽこを振り出した時、むしゃぶろうとビンラディンとの距離はおよそ15メートル。ちんぽこがむしゃぶろうに接するまでの時間はおよそ2秒。先も述べたとおりビンラディンディンのちんぽこは50メートルであるから、それを避けるためには、むしゃぶろうはその2秒の間に35メートル進まなければならない。走り出しから2秒では、いかに足の速いむしゃぶろうでも35メートル進むというのは無理である。
 ならばどうしたらよいか。
 前に進むよりほかにない。
 そう判断したむしゃぶろうは思い切って前に出た。はたして、2秒後、ビンラディンのちんぽこはむしゃぶろうをとらえた。が、むしゃぶろうが懐近くに入ってきた分、その衝撃は弱まっていた。むしゃぶろうはなんとかちんぽこにしがみつき難を逃れた。
 ビンラディンはなおもちんぽこを大きく振り回したが、むしゃぶろうは必死にしがみつき、じわじわと根元のほうに体を移動していった。
 大きすぎるちんぽこを振り回すビンラディンの弱みはそこにあったのだった。直径2メートルといっても、根元は当然ビンラディンの股間であるわけだから、むしゃぶろうが進めば進むほどその直径は細くなる。
 手ごろな太さのところまできたとき、むしゃぶろうは片手を離し、懐にあった匕首を取り出した。そして、それをビンラディンのチンポコの側面に突きたて、力いっぱい、ザクッと手元に引いた。ビンラディンのちんぽこから激しく血しぶきが上がった。まるで椿三十郎の5メートル血しぶきシーンのように。
 そして、ビンラディンのちんぽこは、椿三十郎の仲代達矢のように倒れこんだ。

つづく