スパイダーマン
THE AMAZING SPIDER-MAN

米 1977年 93分 TVM
監督 E・W・スワックハマー
出演 ニコラス・ハモンド
   デヴィッド・ホワイト
   マイケル・パタキ
   リサ・アイルバッハー
   セイヤー・デヴィッド



 残念でしたあ。サム・ライミの方じゃなくて、『溶解人間』と2本立てだった方のやつでしたあ。

 私、この2本立ては学校帰りに新宿のうらぶれた三番館で観た記憶がある。ショボい劇場で観るショボい2本立てが妙にしょっぱかったが、今となっては大切な思い出だ。このランクの映画は今ではビデオに直行だからね。だから、現代社会に生きる中坊たちは、ションベン臭い映画館でババ掴まされて、空しい思いで家路に着くあの切なさを知らないのだろう。幸福とも云えるが、不幸とも云える。あの切なさには得難いものがあるぞ。
 そんなわけで、『溶解人間』と『スパイダーマン』の2本は、私にとっていまだに大切な映画なのである。(映画史にとっては屁でもないのだが)。


『溶解人間』はともかく、『スパイダーマン』の方はTVムービーなので余計に屁でもない。
 しかし、TVムービーにしては結構スタントマンが頑張っている。ワイヤーロープでひっぱられて、ビルの壁をズルズルと這うだけなのだが、10階以上のかなりの高さにまで昇って行く。その高さから下向きで這うシーンなんかもあったりして、高所恐怖症の私としては身震いするシーンが続出。CGなんかよりもよっぽどスゴイ。
 どうやって撮ったのか判らないシーンもある。剣道男三人組(何故かみんなツルっぱげ)に追いつめられたスパイダーマンが、ヒョイと体をかわして天井に貼りつくのである(左写真)。ワイヤーでひっぱり上げたとしか考えられないが、だとすればかなりの重労働だ。
 一部好事家の間では、サム・ライミ版よりも面白いと噂されるこの作品、ビデオ屋で見かけたら借りてみても損はないだろう。

 なお、スパイダーマンの上司の頑固ジジイに扮するデヴィッド・ホワイトは『奥さまは魔女』のラリーである。彼が出て来た時、ションベン臭い映画館で「おおっ」と声をあげたオヤジがいたことが思い出される。


関連作品

溶解人間(THE INCREDIBLE MELTING MAN)


 

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