ケンタッキー・フライド・ムービー
THE KENTUCKY FRIED MOVIE

米 1977年 78分
監督 ジョン・ランディス
脚本 デヴィッド・ザッカー
   ジェリー・ザッカー
   ジム・エイブラハムズ
出演 デヴィッド・ザッカー
   ジェリー・ザッカー
   ジム・エイブラハムズ
   ジョージ・レーゼンビー
   ドナルド・サザーランド


 ZAZのデビュー作であり、パロディ映画の代名詞的な作品であるが、全体的にかなり幼稚である。同じシモネタ満載なら先駆作『アイダホ・ポテト・ライブ』の方がまだ高尚だ。しかし、それでも下らなさ故に思わず吹き出してしまうギャグはいくつかある。

 例えば、ウィラーというビールのCMパロディ。勇壮な音楽と共にイケメン登場。ところが、カメラは彼を追わずに、街頭で布教活動に従事するハリ・クリシュナにズームするのである。
「ビラをすべて配り終えたら、さあ、ウィラー・タイム!」
 おいおい、クリシュナって酒はダメなんだろ?。ところが、これがまた旨いそうに飲むんだな(写真上)。このアホヅラに思わず爆笑してしまった。これはネタ云々ではなく、ジョン・ランディスの演出手腕の賜物だろう。

『酸化亜鉛と私たち』という科学教育映画のパロディも面白い。
「酸化亜鉛がなかったら私たちの生活はどうなるのでしょう?」
 との問いかけと共に、身の回りの品々が次々と消えて行く。
「酸化亜鉛がなかったら、ブラジャーがなくなります」
 のかけ声で主婦の乳が垂れるのはまだいいとして、
「ライフルの安全装置も」
 暴発により息子が死に、
「あなたの夫のペースメイカーも」
 心臓病の夫も倒れて、
「あなたの義足も」
 主婦の義足がカタンと落ちて、これにはちょっとハッとした(写真下)。

 アイディアで面白いのは『感じる映画』であろう。映画館の観客に一人づつアシスタントがつき、映画の中で起ったことを実際に感じさせてくれるのである。例えば、映画の中で水をこぼせば実際にこぼしてくれるし、キスをすればキスしてくれる。しかし、アシスタントは男なもんだから観客は大いに不満顔で、
「次の映画は『ディープ・スロート』です」
 のアナウンスに走って逃げ出す。
 なお、この『感じる映画』での男優の声(画面には映らない)を演じるのは、今日気づいたのだがレスリー・ニールセンであった。『フライング・ハイ』以前に既にZAZと組んでいたのだ。

 この他には『燃えよドラゴン』のパロディが目立つ程度である。これは30分の長尺で、『フライング・ハイ』や『トップ・シークレット』『ホット・ショット』といった後の作品のプロトタイプとして意義深い。カンフー・シーンは割とマジでやっている。


 

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