リトル・ショップ・オブ・ホラーズ
THE LITTLE SHOP OF HORRORS

米　1960年　73分　白黒（ビデオは着色カラー版）
監督　ロジャー・コーマン
脚本　チャールズ・Ｂ・グリフィス
出演　ジョナサン・ヘイズ
　　　ジャッキー・ジョセフ
　　　ディック・ミラー
　　　ジャック・ニコルソン

　この映画、『血のバケツ』のセットを流用して、たったの２日間で撮影されたのだという。予算もたったの３万ドルで、いかにも「早撮りの倹約家」ロジャー・コーマンらしい作品である。彼は本作をもっと誇りにしてしかるべきであるが、当人はというと、

「こんなに奇抜で変わった映画には平凡な成功は似合わない。大ヒットか大失敗のどちらかでなければならない。３万ドルの経費を埋めて少々の利益が残ったというだけではガッカリする」

　などとボヤいている。あんた、たったの２日で撮った映画がペイしたんだから満足しなさいよ。
　それに、たしかに公開時は当らなかったけれど、次第に口コミでカルト的な人気を集め、オフ・ブロードウェイでミュージカル化されて大当たり、ハリウッド大作としてリメイクされるにまで至ったんだから、もっと喜ぶべきである。
　しかし、当人はリメイク作品にはシビアなコメントを残している。

「３千万ドルの予算で製作されたリメイク作品は、興行的にはかなり成功したにもかかわらず、収支は赤字だった。利益などなかった。ハリウッドの大作にはよくあることだ。莫大な売上げがあっても、製作費が膨大すぎてそれを埋めることなどできないのだ」

　と、我らがロジャー・コーマンはあくまでもそろばんずくの商売人なのであった。彼が大作を絶対に撮らない理由がよく判る。彼はたった３万ドルの投資で巨万の富を生む映画を作ることができるのである。

　本作は登場人物がすべて変人という、画期的なブラックコメディであることは云うまでもないだろう。リメイク版ではビル・マーレーが扮した「マゾヒストの歯科医の患者」を、若き日のジャック・ニコルソンが怪演していることでも知られている。
　リメイク版での「サディストの歯科医」はスティーブ・マーチンが扮しており、リメイク版で面白いのはこの二人の登場シーンのみだった。オリジナルの１０００倍の金をかけたというのに。

ロジャー・コーマン（ROGER CORMAN）

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