ピンク・フラミンゴ
PINK FLAMINGOS

米 1972年 108分
監督 ジョン・ウォーターズ
出演 ディヴァイン
   デヴィッド・ローチャリー
   メアリー・ヴィヴィアン・ピアース
   エディス・マッセイ
   ミンク・ストール
   ダニー・ミルズ
   クッキー・ミュラー


 そろそろこれを出さなければならんのだろう。最低映画の王道を行く作品である。
 但し、ここで注意しなければならないのは、この映画はことさらに「最低」であることを意図して製作されたものだということだ。
 つまり、こういうことなのだ。
 ボルチモアの裕福な家庭に生まれたジョン・ウォーターズは、ゲイであったために、この保守的な街に順応することができなかった。彼はその捌け口を映画に求めた。彼と同じく社会に順応できない者どもを集めて、モラルを罵倒する映画を作り始めたのだ。その頂点に立つのが、この『ピンク・フラミンゴ』である。彼はここで「人類の考え得るありとあらゆる下品」をやってのけた。一般人の尺度からすれば「最低」だが、彼らにとっては「最高」だったのだ。否。下品が「最高」だったのではない。下品をことさらに一般人に見せつけることが「最高」だったのだ。


 で、本作について私が書くべきことは「マジソンズ掲示板」で既に書き尽くしてしまったので、そこからの引用で誤魔化してしまおう。

《私が『ピンク・フラミンゴ』を初めて見たのは、高校1年の時、新宿厚生年金会館裏の「アートシアター新宿」というアングラ劇場(といっても、ただのガレージ)で定期的に行われていた「黙壷子フィルムアーカイブ」においてでした。『フリークス』との2本立てで、この『フリークス』が目的で見に行ったのですが、『ピンク・フラミンゴ』の方にノックアウトを喰らってしまいました。「こんなに下らないことを一生懸命にやっている大人たちがいる」ことに感動したのです。以来、自らもことさらに「下らないことを一生懸命やる大人」になるよう心掛け、かくして特殊音楽家としての道を歩むことになったのでした。つまり『ピンク・フラミンゴ』がなければ、このページも存在しなかったのです》


 次に、この映画を巡って近年起こった事件(というほどのものでもないが)を紹介しよう。
《2年ほど前、マジソンズで合コンという笑激の企画の折りに、映画の話題になって、俺が「人間が考え得る下品の限りを尽くした映画」として『ピンク・フラミンゴ』の話をしたところ、ちちはるおが目をつけていた女の子(仮にHとする)が大層な興味を抱いた。
 で、1週間後の日曜日、午前9時にちちはるおから電話があり、
「『ピンク・フラミンゴ』持って今すぐ俺んちに来い!」
 という命令。なんでもHちゃんを自宅に呼び寄せる方便として、よりによって『ピンク・フラミンゴ』をエサに使ったらしい。
「お前、どういう映画か知ってるの?。チンコやマンコやウンコばかりの映画だぜ」
「いや、見たいっていうから」
「しかも、俺が持ってるのは無修正輸入版だよ。女の子に見せる映画じゃないぜ」
「なんでもいいから持ってこいよ!」
 Hちゃんを呼び寄せた喜びから理性を失ってしまっているようだ。 良心がとがめたが、しかし、面白いので持っていった。で、Hちゃんは自分から言い出したものだから、最初は我慢して見ていたが、「肛門ダンス」あたりでNG。一般人に『ピンク・フラミンゴ』を見せつける歓びをこの時に知ったが、 我々はヘンタイだと思われたままでいる。笑止》


関連人物

ジョン・ウォーターズ(JOHN WATERS)


 

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