姿なき殺人
BERSERK

英 1967年 96分
製作 ハーマン・コーエン
脚本 ハーマン・コーエン
   エイベン・カンデル
監督 ジム・オコノリー
出演 ジョーン・クロフォード
   タイ・ハーディン
   ダイアナ・ドース
   マイケル・ガフ
   ジュディ・ギーソン


 かなり変な映画ですよ、これ。
 要するに、サーカスを舞台にした、英国製の「ジャーロ」である。
 胡散臭い登場人物。
 残酷な殺人。
 黒手袋の殺人者。
 納得の行かない謎解き。
「ジャーロ」の特徴をすべて備えた物語に、フリークスのミュージカル・シーンを交え、更にジョーン・クロフォードという怪物を主役に配した、凄まじいばかりのグロテスク・アワーである。

 何がグロテスクと云って、残酷な殺人シーンよりもフリークスよりも、ジョーン・クロフォードが凄まじい。当時63歳(公称)のこのオバちゃまが、なんとハイレグ姿を披露するのである。しかも、マイケル・ガフを色じかけで虜にして、
「今夜は私を抱いていいわよ」
「バットマンの執事」も失笑を禁じ得なかったろう。その上で、綱渡りのイケ面にも手を出してラブラブなのだから呆れてしまう。このオバちゃま、TVドラマの女優をしていた養女が急病の時に、代役で出演したことが伝説(もちろん、悪い意味で)になっているが、年齢なんて全然気にしない人だったんでしょうなあ。


 早い話が、サーカスを舞台にした連続殺人事件の物語である。オバちゃまが座長のこのサーカスは、近年は客が入らずテケレッツのパア。ところが、公演中に殺人事件が起ったことから話題になり、客が押し寄せるようになる。
 殺人事件はそっちのけでウハウハの座長に嫌気が差した共同経営者マイケル・ガフも、頭に釘を打ち込まれて絶命(左写真上)。 「犯人は座長よ!」と吹聴して回るダイアナ・ドースも、手品の失敗で胴体真っ二つにされて、座長がラブラブのイケ面も転落死(左写真)。さて、犯人は.....。

 バカ云ってんじゃないよ!。

 と誰もが怒るような納得の行かない人が犯人で、観客が激怒している間に落雷に遭って犯人は黒コゲ。間髪入れずにエンド・タイトルが入り、観客をおいてけ掘りのまま映画は終わる。記憶に残るのは老婆のハイレグ姿のみ。
 ア〜アンア、ヤンナッチャッタ〜、ア〜アンア、オドロイタ。

 ちなみに、胴体真っ二つのダイアナ・ドースは、かつては「英国のマリリン・モンロー」と云われたセクシー・ダイナマイツ!。この頃はまだなんとか見られるが(それでも、胴回りがちょっと心配)、3年後の『早春』の頃には凄まじいことになっております。それを考えると、63歳(公称)でハイレグ姿を披露できるクロフォードって偉大だったのかな?。


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