バーニング
THE BURNING

米 1981年 91分
監督 トニー・メイラム
特撮 トム・サヴィーニ
出演 ブライアン・マシューズ
   ルー・デヴィッド
   ホリー・ハンター


『13日の金曜日』の翌年に製作された亜流品。しかし、脚色に捻りがあるので、本家よりも面白く見られる。トム・サヴィーニによる特殊メイクも絶好調で、巨大な植木バサミで襲ってくる殺人鬼にも迫力があり、スラッシャー・フィルムとしてはまずまずの拾い物である。

 物語は『13日の金曜日』と同様にキャンプ場を舞台に始まる。夜になれば恒例の怪談大会。火を囲みながら現在の管理人が、前管理人の悲惨な顛末を語って聞かせる。前管理人クラプシーは偏屈な男で、皆から顰蹙を買っていた。悪ガキどもは奴を懲らしめようとイタズラをするが、それが原因で管理小屋は全焼。彼も全身に大火傷を負い、見るも無惨な姿となる。復讐の権化と化した彼はこのキャンプ場に住み着き、今でも子供たちを襲っては血祭りを上げている…。
 子供たちは笑いながら聞いていたが、実は本当にあった話で、クロプシーが現実に復讐にやって来る…という物語。現在の管理人が彼にイタズラした悪ガキの一人というオチもつく。『13日の金曜日』よりも納得の行くオチである。

 なお、本作は我が国ではあの東宝東和の配給だったので、お馴染みの「宣伝におけるインチキ」がいくつか行われている。
 まず、殺人鬼にはクロプシーという名前があるにも拘わらず、勝手に「バンボロ」と改名させられた上に、現実の殺人鬼として現在指名手配中との与太話が付された。
 そして、上のポスターにある逃げ惑う女性の写真。映画にはこんなシーンはなく、東宝東和で勝手に作ったものだそうだ。女性は東宝東和の社員である。

 ところで、ジェミー・バーナード著『スクリーン・デビュー』によれば、本作はあのホリー・ハンターのデビュー作であるらしい。子供たちの一人としてのエキストラで、台詞も一つしかないので、よ〜く見ていないと気がつかないという。彼女がブレイクしたのは、6年後の『赤ちゃん泥棒』でのことであった。


 

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