カニバル 伊 1976年 92分 |
これは「食人映画」の中でも割と楽しめた記憶があったので、DVD化されたのを機に再見したらやっぱり面白かった。初見の当時はまだウブだった私は残酷シーンにばかり眼が行ってしまったが、本作は実は文明人がジャングルの奥地で次第に野生化し、一人前の食人族へと成長するさまを克明に描いた人間ドラマだったのだ。あの『食人族』より面白い。「食人映画」の最高傑作であろう。 主人公の人類学者はミンダナオ島の奥地で遭難し、原住民に捕らえられてしまう。彼らは石器時代さながらの生活を送る食人族だった。己れもやがては喰われることを悟った主人公は、1匹の雌を手なずけて逃亡。ジャングルの中を逃げまどううちに主人公は、原始の記憶を呼び覚ましていくのであった。 |
圧巻はラストの「食人族に仲間入り」である。原住民に追い詰められた主人公は、うちの一人とサシで戦い、これを見事に射止める。そして、自らが一人前の戦士であることを彼らにアピールするために、射止めた男の腹を裂き、その肝臓に喰らいつくのだ。かくして戦士として認められた彼は、原住民が見守る中を悠然とセスナで飛び立つ。なんだか『プレデター2』みたいな終わり方であった。 監督は『食人族』でお馴染みのルッジェロ・デオダート。職人監督であり、その作品群には何のポリシーも感じられないが(本作と『食人族』の間に『フィーリング・ラブ』というロマンス映画を撮ったりしている)、1作ごとに手堅く押さえる手腕はさすが。サービス精神も満点で、本作でも主人公をフルチンのまま宙吊りにしたり、そのチンポコを雌がウニウニと触るさまをアップで捕らえたりと、下ネタを外さない。 なお、チンポコをウニウニと触る雌を演じるメ・メ・レイは、『怪奇!魔境の裸族』や『食人帝国』にも出演している「食人女優」である。否。彼女は喰わない。いつも喰われる役なのだ。本作でも逃亡を手助けしたかどで喰われる。はらわたを抜いて、焼いた石をバナナの皮で包んで詰める、という調理法がなかなかリアルであった。 |
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