地獄のモーテル
MOTEL HELL

米 1980年 97分
製作総指揮 ハーブ・ジャッフェ
脚本 ロバート・ジャッフェ
   スティーヴン=チャールズ・ジャッフェ
監督 ケヴィン・コナー
出演 ロリー・カルホーン
   ナンシー・パーソンズ
   ポール・リンク
   ニナ・アクセルロッド
   ウルフマン・ジャック


 親子でカニバリズム映画を作るというのは、いったいどういう神経なのだろうか?。とにかく『風とライオン』や『デモン・シード』のプロデューサー、ハーブ・ジャッフェは、
「『悪魔のいけにえ』みたいな映画を作ろう!」
 と二人の息子に提案し、それで出来たのがこの映画だ(と思う)。息子は脚本を、親父は製作を担当している。まったくイヤな親子である。

 モーテルを経営する二人の兄妹。彼らは敬虔なクリスチャンで、虫も殺さないような顔をしているが、副業でソーセージを作っている。これがまたえらく旨いと評判で、遠方からわざわざ買いに来る人もいる。
「うちの商品の旨さの秘密は、防腐剤を使っていないことなんだ」
 しかし、旨さの秘密は他にあった。彼らは人肉を隠し味として混ぜていたのである。


 裏の畑には頭だけ出して埋められた犠牲者たち。彼らは声を出さないように声帯を切除されている。そして、まるでフォアグラのアヒルのように、じょうごで餌を与えられ、食べごろになれば首に縄を結わかれて、耕運機でひっぱり収穫される。こんなグロテスクな描写がコメディタッチで繰り広げられる。そこにはサスペンスのかけらもなく、ただ猟奇性があるのみである。
 そして、一悶着あって、モーテル経営者は絶命。臨終の言葉は、
「私は偽善者だ。30年間も嘘をついてきた。実は防腐剤を使っていたんだ」

 映画自体は最低だが、ロリー・カルホーンとナンシー・パーソンズが演じる不気味な兄妹は一見の価値があるだろう。パーソンズはどこかで見た顔だと思ったら『ポーキーズ』に出ていたオバハンだった。
 それから、牧師役であのウルフマン・ジャックが出演している。どうしてこんな映画に出演したのか?。謎である。


 

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