血ぬられた頭蓋骨
BLOOD BATH

米 1975年 80分
監督 ジョエル・M・リード
出演: ハーヴ・プレスネル
   カート・ドーソン
   ジャック・ソマック


 いやあ、これはシドいなあ。あまりにシドいんで、思わず顔が綻んでしまうんだけどね。スゴいのを発掘したなあって。
 この映画を輸入してしまった東北新社も相当困ったと見えて、ビデオ・パッケージの解説は嘘八百だ。

「ホラーファン待望!。スプラッター・ホラー、コメディ・ホラー、オカルト・ホラーなど、あらゆる恐怖がぎっしり盛り込まれた傑作オムニバス・ホラー(全5話)。
 霧の中の結婚式。花嫁は純白のドレスを着飾っている。しかし、振り向いたその顔は口が耳まで裂けた女だ!。オープニングから、ノンストップで突っ走る残酷スプラッターシャワー。意表をつくラストと秀逸なアイデアで贈る異色作です」

 以上の文章の中で合っているのは「異色作」だけなのだよ。振り向いた花嫁は口裂け女じゃないよ。ババアだったんだよ。それで笑いをとって「ツカミはOK」ってなこと考えたんだろうけど、笑えねえよ。どこが面白えんだよ、花嫁がババアってだけで。

 このノーミソのこもっていない映画の作り手はジョエル・M・リード。あの『悪魔のしたたり』を撮った鬼畜野郎だ。あれもシドかったが、これは輪をかけてシドい。脚本もリード本人で、よくもまあこんな脚本に金を出す人がいたものだと感心する。


 第1話。或る家に侵入した男。テープレコーダーを再生すると、その家の旦那の声が流れる。その声に旦那の帰宅と勘違いした妻が迎えに来ると、これを殺害。続けて、本物の旦那が帰宅。テープレコーダーを再生すると、今度は妻の声が流れる。旦那が寝室にやって来ると、これを殺害。財布を盗んで去る男。
 これで終わり。
「これで終わりィ?」
 のっけからいきなり驚かされる。

 第2話。或る人物の暗殺を請け負った殺し屋。ターゲットの車に侵入して、アタッシュケースを爆弾入りのものとすり替える。その帰路で彼の車がエンスト。ヒッチハイクするが、拾った車は彼が爆弾を仕掛けた車だった。運転手はどう見てもヒッピーで、その車を盗んだことは明らかだ。彼は車を降り、近所のダイナーでタクシーを待つが、先ほどのヒッピーが「忘れ物だ」とアタッシュケースを持参。途端に爆発。二人は死ぬ。
 どうして車を盗んだ男が忘れ物をわざわざ届けてくれるのだろうか?。
「アッタマ悪いなあッ」と脚本家(リード御本人)を罵りつつ、次に進む。

 第3話。どうでもいいわ、これ。
 第4話。どうでもいいわ、これ。
 第5話。これは書いてもいいかな。少林寺の名を汚した(らしい)アメリカ人。報復を受けて、ダルマ太子と対決した挙げ句にカラダをメチャクチャにされて、ステレオアンプに頭を移植されてしまう.....。

 本当にクダラナイ。
 史上最大のクダラナサを、私は今、目撃している。
 貴方にも是非このクダラナサを体験して戴きたい。


関連作品

悪魔のしたたり(BLOODSUCKING FREAKS)


 

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