バスケット・ケース 米 1982年 93分 |
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O次郎のような姿の兄と、これをバスケットケースに入れて持ち歩く弟。二人はかつて繋がっていたのだが、外科手術により分離されてしまった。無惨にもゴミ箱に棄てられた兄は弟に救い出される。そして、分離されてなおテレパシーで繋がれた二人は、兄を棄てた父と医者たちを一人づつ血祭りに上げていくのであった.....。 この奇妙な映画の存在を我が国に知らしめたのは、ペヨトル工房で出版していた『夜想』の畸形特集号。ニューヨークのミッドナイト・シアターで大人気のカルト・ムービーとして紹介されていた。83年のことである。それを読んだ人々は誰もが観たいと思ったが、内容が内容だけに、我が国での公開は不可能かと思われた。ところが、折しものレンタル・ビデオ・ブームに乗じて、2年後にあっさりとリリースされた。しかも、どこの店にも常備されるヒット商品となった。世の中、判らないものである。 そんな本作のテーマは、一言でいえば「因果な絆」。半端な姿の兄は、怪力の持ち主だが、言葉もしゃべれず、弟なしには生きていくことができない。かたや、弟は小心者。完全に兄に支配されており、兄なしには何も決めることができない。そんな弟が生まれて初めて恋に落ち、兄からの独立を謀る。しかし、兄が許す筈はなく、相手の女を絞め殺し、そして、これを屍姦する。血みどろのベッドの上でO次郎が、性器もないくせに上下運動する様は残酷であると同時に滑稽で、いったいどうしたらこんな奇妙な映像を思いつくのやら、監督の正気を疑った。 なお、本作には2本の続編が存在するが、別の映画を撮るために仕方なく撮ったものであり、いずれも大したものではない。ただ、性器がないと思われていた畸形の兄には実は性器があり、同じ姿の畸形の女とセックスをする場面はグロテスクの極みで、いったいどうしたらこんな奇妙な映像を思いつくのやら、監督の正気を本気で疑った。3作目ではO次郎とP子の子供まで登場し、これまた同じ形態で、彼らは人類とは異なる別の種であることが判る。 |
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