魔人ドラキュラ
DRACULA

米 1931年 85
監督 トッド・ブラウニング
出演 ベラ・ルゴシ
   ドワイト・フライ
   デヴィッド・マナーズ
   ヘレン・チャンドラー
   エドワード・ヴァン・スローン


 当初はロン・チェイニーがドラキュラを演じる予定だったという。ところが、喉頭癌を患ってしまった。そこで急遽、ブロードウェイの舞台で『ドラキュラ』を演じていたベラ・ルゴシにバトンタッチされたのだ。
 ルゴシのハンガリー訛りとエレガントな物腰はドラキュラには打ってつけで、舞台と同様に映画も大好評を博した。しかし、今見るといささか冗漫である。舞台俳優だったルゴシの演技も大袈裟だ。私は85年頃に『フランケンシュタイン』との二本立てリバイバル上映で初めて観たのだが、ルゴシが十字架を見てオーバーに仰け反る場面では客席から失笑がこぼれていた。続く『フランケンシュタイン』と比べるとその出来の差は歴然だ。同じベラ・ルゴシならば『恐怖城』の方がよっぽど優れている。
 本作の見どころはむしろレンフィールドに扮したドワイト・フライだ。ドラキュラに血を吸われて気が触れてしまう哀れな男を好演している。この映画で最も怖いのは彼の狂いっぷりである。


↑おっと、まさかの本人登場。


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