デス・キューブ
DEATH GAME

米 1996年 93分 TVM
製作総指揮 ロジャー・コーマン
監督 ランディ・チェベルデイブ
出演 ティモシー・ボトムズ
   デビッド・マッカラム
   ニコラス・ヒル
   イーヴァン・ルーリー


 試みに「CINEMASCAPE」のコメントを見ると、
「『CUBE』に謝るべし。 今すぐ謝るべし。 とんでもない侮辱」
「『CUBE』と間違えてビデオ借りちゃった。ラベルのデザインからしてこりゃあ、わざとだね。ちょっとお、誰か責任とってよ」
「最初の20分で観るのやめた」
「生まれてこのかた、これ程怒りを感じた作品も珍しい」

 と惨々のこの映画。私も騙されて借りちゃった口だが、このたび再見してみると、色々と興味深いことが判った。

 まず、インターネットで検索してみると、本作には2つの原題があり、それぞれの製作年の表記が異なっている。
『DEATH GAME』1996年」。
『DEATH CUBE』1997年」。
 ちなみに、日本版ビデオの中での題は『DEATH CUBE』である。

 そして、再見して気づいたのだが、本作の設定は『エスケープ・フロム・LA』からのパクリである。『エスケープ・フロム・LA』は1996年の製作。『CUBE』は1997年の製作。
 ここで感の鋭い方はお判りであろう。
 本作はもともと、96年に『
エスケープ・フロム・LA』に肖って製作されたものなのだが、翌年に『CUBE』が世界的に大ヒット。似ている内容だったことから、改題して日本に売られたものだったのである。
 さすがロジャー・コーマン。その商才には唸らずにはおれない。


 で、『CUBE』と関係なく見ると、本作はTVMにしては「まあまあ」の作品である。
 大地震のために壊滅したLAは今や無法地帯。そこに殺人ゲームに興じるキチガイどもがいた.....という『エスケープ・フロム・LA』+『デスレース2000年』の物語だ。これに『バイオハザード』や『トゥーム・レイダー』のような迷路型ゲームで味付けしたのが本作の実態で、その「迷路」の部分だけが『CUBE』に似ているに過ぎない。だから『CUBE』を期待した者にとっては「これ程怒りを感じた作品も珍しい」ことになってしまうのである。

 しかし、それにしても主人公のティモシー・ボトムズ(『ジョニーは戦場に行った』の人)はジョージ・ブッシュによく似ている。
 それから、キチガイ博士はイリヤ・クリヤキンことデヴィッド・マッカラム。すっかり肥えてしまわれていて、ナポレオン・ソロと見紛うほどだ。


 

BACK