ジャンク/死と惨劇
FACES OF DEATH

1979年 100分
監督 コナン・ル・シレール
脚本 アラン・ブラック


 いろいろと謎の多い映画である。
 まず、製作国がよく判らない。我が国での公開当時は「イタリア」ということであったが、IMDbによれば「アメリカ」だ。一方「allcinema ONLINE」では「アメリカ=イタリア=日本」の合作ということになっている。
 この謎を解く鍵は『映画秘宝/日常洋画劇場』(洋泉社刊)「安達かおるインタビュー」の中にあった。

藤木「80年になると劇場用で『ジャンク/死と惨劇』を作られますよね。テレキ
   ャス・ジャパンがお金を出して作った。イタリアのプロダクションが作った
   ことになってるんですよね」
安達「いやいや、アメリカですよ。アメリカのっていうこともないんですが、あれ
   は、フェイス・オブ・デス(FOD)プロダクションっていう、まったく架
   空のプロダクションをでっち上げた」
藤木「えっ!。『キネ旬』で見るとイタリアのFODプロダクションって書いてあ
   りましたが」
安達「あ、それイタリアじゃないですね。間違いですね。アメリカです。あれ作っ
   たのは僕なんですけどね。そのFODプロダクションっていうのは、向こう
   にゴールドキーっていうラボやってる男がいたんですよ。そいつと一緒にや
   った。で、あんな映画、日本で作ったら価値が下がるし、台湾とかにも輸出
   できないんで、アメリカ映画にしたんですよ。向こうが言うには、俺はこん
   なもんに手を染めたら名誉が落ちる、と。じゃあ、なんかプロダクション作
   ろうよ、っていってFODっていうのを作ったんですよね」
藤木「勝手にでっち上げて」
安達「そうそう。向こうに本拠地だけ置いて」

 というわけで「実質=日本、形式=アメリカ」が正解だったのだ。イタリア関係ねえじゃん。

 そんないい加減な映画であるわけだから、監督としてクレジットされている「コナン・ル・シレール」も実在しないのかと思われたが、IMDbで調べたら、なんと実在していた。本名は「ジョン・アラン・シュワルツ」で、本作の脚本家「アラン・ブラック」も彼の変名である。安達氏の云う「ゴールドキーってラボやってる男」がその人なのかも知れないが、真相は安達氏に訊かないと判らない。
 要するに、出所をこれだけあやふやにしておかないと、これほど不謹慎な映画は作れない、ということなのだろう。


 

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