悪魔の赤ちゃん3/禁断の島
ISLAND OF THE ALIVE

米 1986年 95分
監督 ラリー・コーエン
脚本 ラリー・コーエン
出演 マイケル・モリアーティ
   カレン・ブラック
   ゲリット・グレアム
   ニール・イズラエル


 薬害問題をテーマにした1作目はまだ理解できる。怪物赤ちゃん擁護派と抹殺派の対立を描いた2作目も、まあ良しとしよう。しかし、その怪物赤ちゃんが無人島で飼育され、ガチャピンのような着ぐるみ状態で成長した3作目ともなると、もはや笑ってしまうほかない。しかも赤ちゃんはまだ5歳。にもかかわらず、妊娠して、子供を産み落としたりする。

 1作目から実に18年ぶりに製作された本作の背景にあるのはエイズ問題であることは明らかである。
 前半では怪物赤ちゃんの父親への世間の差別を執拗に描き、観客にイヤ〜な思いを散々味わせる。と、中盤からはポーンと南洋に舞台を移し、海洋冒険ものに早変わりしてしまう。(その変わりざまは、まるで黒沢明の『天国と地獄』のようだ)。怪物赤ちゃんの島での大殺戮を描いた後は、今度は人情噺(しかも夫婦もの)にシフトチェンジし、
「怪物赤ちゃんでも子供は夫婦のかすがいだねえ」
「だから父ちゃん、おいらの頭をげんのうでぶとうとしたんだ」
 ってな感じで落語『子別れ』のようになって終わる。
「なんだこりゃあ?」
 と呆れると同時に、その無軌道ぶりに感動した。

 ラリー・コーエン映画の醍醐味は、この「なんだこりゃあ?」にこそある、と私は勝手に断定している。


関連人物

ラリー・コーエン(LARRY COHEN)


 

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