最後の猿の惑星 米 1973年 87分 |
私と同じ世代の男子ならば、誰もが『猿の惑星』に燃えた時期がある筈である。小学生高学年の多感な時にテレビの洋画劇場で『猿の惑星』全5作の放映ラッシュがあったからだ。 第1作の《猿の惑星》は、『トワイライト・ゾーン』のプロデューサー兼ホスト役でお馴染みのロッド・サーリングが企画した、SFマインドに溢れた傑作だった。キム・ハンター(ジーラ)やロディ・マクドウェル(コーネリアス)、モーリス・エバンス(ザイラス)等の名優たちが猿に扮したことも画期的だ。彼らの表情を殺さないための精巧な特殊メイクも評判となり、アッと驚くどんでん返しも鮮やかで世界中で大ヒット。様々な亜流を生み、我が国でも『猿の軍団』というTV番組が作られて、20世紀フォックスから訴えられた。 |
大ヒット作の宿命で、直ちに続編が作られた。 |
さあ、地球をブッ壊してしまったもんだから、更なる続編を作ることは不可能かに思われたが、コペルニクス的発想の転換で、今度は猿を未来から現在の地球に連れて来てしまった。シリーズ中で最も「モンド」な『新猿の惑星』である。 |
案の定、猿夫婦の子供シーザー(マクドウェルの続投)を主人公にした『猿の惑星・征服』は、猿が奴隷と化した近未来が舞台。両親の仇を討つべくシーザーが、アホウの猿どもを教育し、自我を目覚めさせ、革命を起こすまでを描いた。これはなかなかの傑作で、私の『猿の惑星』ブームは一気に頂点に。猿と人間の最終戦争が描かれる(筈の)続編に期待は高まる。 「今日はいよいよ『最後の猿の惑星』だよなッ」 なお、『征服』と『最後』の監督J・リー・トンプソンは、かつて『ナバロンの要塞』や『恐怖の岬』『マッケンナの黄金』をものにした名匠だったが、70年代に入ってからはまったく冴えない。そのあんまりなオチが今なお語り継がれている『誕生日はもう来ない』が決定打となり「名匠」の肩書きを返上することとなるのであった。 |
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