キングコング2
KING KONG LIVES

米 1986年 105分
製作総指揮 ディノ・デ・ラウレンティス
監督 ジョン・ギラーミン
出演 リンダ・ハミルトン
   ブライアン・カーウィン
   ジョン・アシュトン
   ピーター・マイケル・ゴーツ



 あのジョン・ウーが製作した『ビッグ・ヒット』というなかなか面白い映画があるのだが、この映画のラスト、主人公の殺し屋(凄腕だけどボンクラ)が様々な受難を乗り越えてレンタルビデオを返しに行くシーンで、そのビデオが『キングコング2』だったのにはかなり笑えた。脚本家のチョイスは適格だ。これが『死霊の盆踊り』だったら主人公はマニアになってしまうし、『タイタニック』だったら普通の人だ。『キングコング2』だったってことが、彼のボンクラぶりを余計に助長し、且つ「そんな下らないビデオを返却するために命を賭けるなよ」という笑いを産むのである。

 前作『キングコング』もかなりのトンチキであった。「コンピューター操作による実物大のロボットで撮影」との宣伝に騙された私は、観客席から転げ落ちることとなった。(ロボットを使ったのは終盤の鎖を断ち切るシーンのみ。それ以外はリック・ベイカーによる着ぐるみである)。ポスターにあったジェット機ワシ掴みのシーンなどもなく、コングはヘリコプターによる機関銃攻撃に屈するのみであった。
 で、機関銃攻撃により今は亡き貿易センタービルから墜落したコングが実は生きていた.....というのが本作なのである。前作のラストで心臓が止まるシーンを描いていたにも拘わらず、いけしゃあしゃあと続編を作るラウレンティス=ギラーミン・コンビの厚顔ぶりには唖然とさせられる。


 物語はトンデモの一語に尽きる。
 或る大学で、コングは植物人間状態で保存されていた。彼のために特製した人工心臓の移植を計画。しかし、そのためには大量の輸血が必要だ。そこで別のコングを探すのであるが、映画が始まって5分であっさりと見つかってしまう。しかも、今度のコングは雌だ。手術が終わったコングは雌の臭いに発情し、10年にも及ぶ昏睡の間に溜まりに溜まった精液を排出するべく、雌コングと駆け落ちし、交尾に耽るのであった。

 こうして書いていると面白そうに思われるかも知れないが、人工心臓手術シーンはなんとも大人しいもので、血がドバッというスプラッター描写は一つもない。コングの交尾シーンももちろんない。暗示させているだけである。相変わらず上品な作りなのだ。設定がこれだけ低俗で下品なのにもかかわらずだ。
 ランレンティスさん。あなたはイタリア人にも拘わらずスノッブなのだよ。プライドを捨てて、もっと娯楽に徹しろよ。そうすれば、あんたの作る映画、もっと金を産むを思うよ。

 なお、本作でコングの人工心臓手術を執刀する女医師には『ターミネーター』シリーズのリンダ・ハミルトン。この人、ホントこんな映画ばかりだよなあ。


 

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