キングコング2 米 1986年 105分 |
あのジョン・ウーが製作した『ビッグ・ヒット』というなかなか面白い映画があるのだが、この映画のラスト、主人公の殺し屋(凄腕だけどボンクラ)が様々な受難を乗り越えてレンタルビデオを返しに行くシーンで、そのビデオが『キングコング2』だったのにはかなり笑えた。脚本家のチョイスは適格だ。これが『死霊の盆踊り』だったら主人公はマニアになってしまうし、『タイタニック』だったら普通の人だ。『キングコング2』だったってことが、彼のボンクラぶりを余計に助長し、且つ「そんな下らないビデオを返却するために命を賭けるなよ」という笑いを産むのである。 前作『キングコング』もかなりのトンチキであった。「コンピューター操作による実物大のロボットで撮影」との宣伝に騙された私は、観客席から転げ落ちることとなった。(ロボットを使ったのは終盤の鎖を断ち切るシーンのみ。それ以外はリック・ベイカーによる着ぐるみである)。ポスターにあったジェット機ワシ掴みのシーンなどもなく、コングはヘリコプターによる機関銃攻撃に屈するのみであった。 |
物語はトンデモの一語に尽きる。 こうして書いていると面白そうに思われるかも知れないが、人工心臓手術シーンはなんとも大人しいもので、血がドバッというスプラッター描写は一つもない。コングの交尾シーンももちろんない。暗示させているだけである。相変わらず上品な作りなのだ。設定がこれだけ低俗で下品なのにもかかわらずだ。 なお、本作でコングの人工心臓手術を執刀する女医師には『ターミネーター』シリーズのリンダ・ハミルトン。この人、ホントこんな映画ばかりだよなあ。 |