グローイング・アップ
LEMON POPSICLE

イスラエル=米 1978年 95分
製作 メナハム・ゴーラン
   ヨーラン・グローバス
監督 ボアズ・デビッドソン
脚本 ボアズ・デビッドソン
出演 イフタク・カツール
   ジョナサン・シーガル
   ツァッチ・ノイ


 この映画の主人公は、上のポスターで真ん中のベンジーである。
 しかし、誰もがヤリ手のボビー(右)になりたがる。
 だけど、実際はデブのヒューイ(左)なのである。
 私にもこんな体験がある。
 女の子をナンパして友人宅で飲んでたら、私はいつの間にか就寝。朝起きると隣には、一つの布団で仲良く眠る2人の男と1人の女の姿があった。こいつら、私が寝ている間に3Pしていたのである。この時、私は思った。
「今の俺って、まるでヒューイじゃないかッ」

 というわけで、『グローイング・アップ』というイスラエル映画が世界中で大ヒットしたのは、極めてリアルだったからである。実際の青春は『アメリカン・グラフィティ』のような綺麗ごとでは済まされない。オナニーだってするし、チンポコの大きさを図ったりもするし、果てには精液の飛ばしっこさえする。風呂を覗くことだってあるし、夜這いすることだってあるし、堕胎することだってある。とにかく、何だってありなのが性に目覚めた思春期ってえもんだ。その全貌を正直に銀幕に映し出したのが、この映画なのだ。
 当時は「まあ、なんてお下品なの?」と思ったりもしたが、今見ると『アメリカン・グラフィティ』よりも泣けるかも知れない。この映画に泣くのではない。ヒューイだった俺に泣くのである。

 しかし、それにつけても本作のプロデューサー、ゴーラン&グローバスはしたたか者である。いくら大ヒットしたからといって、7つも作ることないじゃないかッ。

 2作目『ゴーイング・ステディ』
 3作目『恋のチューインガム』
 4作目『渚でデート』
 5作目『ベイビー・ラブ』
 6作目『恋のネイビーブルー』
 7作目『恋の卒業パーティ』

 7作目が作られたのは9年後の87年で、ヒューイもすっかりオジサンになっていた。
 それから、81年には第1作のリメイクが作られた。『グローイング・アップ/ラスト・バージン』である。監督も同じ、内容も同じだが、舞台をイスラエルからアメリカ西海岸に移し、音楽も80`sに改められていた。

 イスラエルの一介の興行師だったゴーラン&グローバスは、この大ヒットによりキャノンを立ち上げたのだから大したものだが、あのゴダールが彼らを評して曰く、
「映画を作っていなければ、ただのヤクザ」
 それほどにキャノンという会社はヤクザなところだったのだそうだが、その詳細については、また別の機会に。


 

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