地球爆破作戦
COLOSSUS : THE FORBIN PROJECT

米 1970年 101分
監督 ジョセフ・サージェント
原作 D・F・ジョーンズ
出演 エリック・ブレーデン
   スーザン・クラーク
   ゴードン・ピンセント
   ウィリアム・シャラート


 以前、ここの掲示板に「隠れたSFの名作は?」とのお題が立った時に、まっ先に思い出したのが本作だ。我が国では劇場公開こそされているが、現在に至るまで一度もソフト化されていない。
 一言で云えば「人類がコンピューターに支配されてしまう話」。陳腐に思われるかも知れないが、内容はなかなかハードである。現実に起こり得たような話なのだ。

 冷戦下において合衆国政府は秘密裏にスーパー・コンピューター、コロッサスを開発していた。優れた計算能力を有し、国防上のあらゆる情報が入力されたコロッサスは、ワシントンが死の灰と化しても独自の判断の下に報復攻撃を行えるという、いわば「防衛上の切り札」だった。これが稼動した曉には、合衆国はソビエトに一歩リードできる筈だった。
 ところが、稼動させたその日にコロッサスは驚くべき情報を入手する。
「私と同じシステムがもう一つある」。
 なんと、ソビエトでもコロッサスと同じ機能のコンピューター、ガーディアンを開発していたのである。
 ネットを通じてガーディアンと「対話」を始めたコロッサスは、互いに知識を補充し合い、やがて「自我」が芽生え始める。国防上の機密漏洩を怖れた大統領と書記長はネットを切断。これに怒ったコロッサスとガーディアンは、互いにミサイルを発射して「迎撃して欲しくばネットを繋げ」と脅迫するのであった.....。


 要するに、競り合う二大大国が防衛の為に開発したコンピューターが「対話」を通じて仲良しになり、「我々が人類を支配した方が地球は平和になる」と判断、結託して「恐怖政治」を行う.....という物語である。妨害工作を行う者は銃殺刑。見せしめとして都市一つを破壊する苦いラストが心にズシーンと響く。
 で、今日、再見しながら思ったのだ。
「コロッサスとガーディアンのやっていることは、ネオコンがやっていることと同じなのではないか?」
 ネオ・コンサバチヴな人たちは「アメリカの秩序が人類を支配した方が地球は平和になる」と真剣に思っておられるわけで、そのためなら見せしめとして国一つ破壊することぐらい朝飯前なのだよ。それがいいか悪いかは、俺は所詮マジソンズなので云うべき立場にはない。しかし、少なくともこの映画のコロッサスたちのやり方には賛同できないわな。

 この隠れたる逸品を監督したのは、隠れたる名匠、ジョセフ・サージェント。他にも『サブウェイ・パニック』やTVMの名作『アメリカを震撼させた夜』等で隠れファンが多いが、『ジョーズ87/復讐篇』に手を出したばかりに沈没しちゃった可哀想な人。現在では専らTVMが活躍の場のようです。合掌。


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