地獄のデビルトラック
MAXIMUM OVERDRIVE

米 1986年 98分
監督 スティーブン・キング
脚本 スティーブン・キング
音楽 AC/DC
出演 エミリオ・エステベス
   パット・ヒングル
   ローラ・ハリントン
   イヤードリー・スミス
   スティーヴン・キング


 あのスティーブン・キングが満を持して自ら監督、だけど中身はテケレッツのパア、との世評が語り継がれて久しい作品であるが、私は傑作だと思う。宇宙人の電波により機械が人を襲い始める、という小学生レベルのアイデアに正面から挑んだ勇気にまず脱帽だ。86年といえば『シャイニング』や『デッドゾーン』が出揃って、キングもモダンホラーの巨匠と認知されてきた頃のこと。そんな中で「いや、私の好きなのは、こんなにクダらない世界なのですよ」と自らの低俗な世界観を披露して見せたのだ。これってとってもカッコいいことだと思う。音楽もAC/DCでバカまるだし。まったく背伸びしない「永遠の小学生」スティーブン・キングの勇気に感動しないようではダメである。

 銀行の自動払い戻し機で金を下ろそうとするスティーブン・キング御本人。するとディスプレイ画面は「ケツの穴」という文字を並べ始める(左写真)。このイントロダクションでだいたいどんな映画か判るってえもんだ。
 ラストの投げやりさにも好感が持てる。トラックたちの攻撃からようやく逃げ出して船出した主人公たち。そこに字幕が流れる。
「2日後、大型のUFOが宇宙空間で発見され、ソ連の気象衛星に破壊された。気象衛星でもミサイルを積んでいたのだ」。
 いやあ、まったく小学生レベルのオチに拍手喝采だ。


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