ドラキュラ対フランケンシュタイン
DRACULA VS. FRANKENSTEIN

米 1971年 90分
製作総指揮 マーディ・ラスタム
製作 アル・アダムソン
   ジョン・ヴァン・ホーン
監督 アル・アダムソン
出演 J・キャロル・ネイシュ
   ザンダー・ヴォルコフ
   ロン・チェイニー・Jr.
   ラス・タンブリン
   アンジェロ・ロシット
   フレデリック・J・アッカーマン




 小学5年の時に肺炎を患った私は、自宅療養のために学校を1ケ月ほど休んだ。その1ケ月間は東京12チャンネル天国だったことは云うまでもない。「朝のロードショー」と「2時のロードショー」を観ることが毎日の日課となったのだ。B級SFやマカロニ・ウエスタンを随分と観たが、その中で観たくもないのに2回も放映された映画が1本だけあった。それがこの『ドラキュラ対フランケンシュタイン』である。
「あッ、またこれかよ」。
 もちろん、1回目の放映の時はワクワクしながら観たものだった。なにしろ3歳の頃のアダ名が「フランケン」ですからね、あたしゃ。テレビ放映していた『怪物くん』の大ファンで、何を訊かれても「フンガー、フンガー」としか応えなかったらしい。
 ところが、この映画に出てきたのは、ズタ袋のようなフランケンシュタイン。しかも、ドラキュラとの戦いで手足がボロボロと落ちてしまう。そのドラキュラが、これまた口髭顎髭のラテン顔で、フランケンとの戦いで時の経つのを忘れて、日の出とともにあっさり死んでしまうマヌケさ。
「この映画は絶対に違う」。
 と憤慨したのを、今でも鮮やかに憶えている。

 この映画、もともとはラス・タンブリン主演の暴走族映画として製作されたものらしい。しかし、あまりにもつまらないので、急遽、フランケンシュタイン博士を付け足した。ところが、まだつまらないので、更にドラキュラ伯爵を付け足したというトンデモない代物。史上稀にみるダメ映画だったのである。

 監督のアル・アダムソンは、とにかくこんな映画ばかり撮っている人ってことで解説が十分な人。弟子には『死霊のかぼちゃ』のグレイドン・クラーク、『ザ・ダーク』のジョン・バッド・カードスがいる。
 なお、アダムソンは95年、砂漠で変死体となって発見された。犯人は『ドラキュラ対フランケンシュタイン』に怒った観客、との噂もあるが、信憑性は高い。


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