スリーズマニアの逆襲
Sleazemania Strikes Back

米 1985年 80分
ライノ・ビデオ
製作 ジョニー・レジェンド


 

『スリーズマニア』の続編である。

「これから流す映像には衝撃的なものが含まれています。心臓の悪い方やお子様は、90秒の間だけ席を離れるようお願い致します」

 という『血の祝祭日』の予告編の有名なアナウンスで始まることから判る通り、今回はハーシェル・ゴードン・ルイスをフィーチャーしている。他には『2000人の狂人』『サバーバン・ルーレット』『ディス・スタッフル・キル・ヤ!』等。『ディス・スタッフル・キル・ヤ!』はタイトルこそ禍々しいが、実はすっとぼけたコメディであることを知る。

 更にエド・ウッドがフィーチャーされているのも嬉しい。グレンとグレンダの予告編なんてここでしか見られないだろう(予告編が存在していたことに驚いた)。興味深いのは、この予告編の中にカットされたシーンがいくつも入っていること。中でも、クライマックスでのドロレス・フラーがウッドにアンゴラのセーターをあげるシーン。『エド・ウッド』のビデオ・ジャケットにもなっていた迷シーンだが、予告編の中では無造作に投げつけられているのだ。これはウッドの女装癖を得心できないフラーが投げやりに演じたところ、「もっと感情を込めてッ」と撮り直させられたシーンなのだと何かのドキュメンタリーでフラー自身が語っていた。普段は殆ど撮り直しをしないウッドであったが、このシーンだけは撮り直していたのだ(笑)。それだけ思い入れのあるシーンだったということなのだろう。しかし、ボツにしたそのテイクが何故か予告編に入ってる。不思議である。

 なお、『グレンとグレンダ』は予告編だけでなく、中盤のストリップ・シーンもフィーチャーされている。このシーン、ワケの判らない映画を作られて困り果てた製作者が、なんとかエッチな映画として売るべく追加したもので、ウッドの本意ではない。ストリップの合間にルゴシのニヤニヤ顔が差し込まれているので、後で観たルゴシが「ワシはあんなことしていないッ」と怒ったというが、この追加シーンのために『グレンとグレンダ』が余計にシュールで魅力的な作品になったのも事実。我々はこのシーンを含めて『グレンとグレンダ』が大好きなのだ。

 なんだか『グレンとグレンダ』の話ばかりになってしまったが、他にも、当最低映画館が推す殿堂入り最低映画ザ・ガール・フロム・SIN血まみれ農夫の侵略等、猥雑で安っぽい映画が目白押しだ。
 中でも『ティーンエイジ・クルーザーズ』という作品が特筆もの。『アメリカン・グラフィティ』のセクスプロイテーション版みたいな内容で、バター犬は出てくるはロバと交尾するは読経する女に張り形くわえさせるは(写真中)、この上なく幼稚且つ下品で、これは全編観てみたい。