評価 ★★★

悪魔の墓場
LET SLEEPING CORPSES LIE
a.k.a. DON'T OPEN THE WINDOW

伊=スペイン 1974年 94分
監督 ホルヘ・グロウ
脚本 サンドロ・コンチネンツァ
   マルチェロ・コスチア
出演 レイ・ラヴロック
   クリスティーヌ・ガルボ
   アーサー・ケネディ


 今日、「ゾンビ」と云えば、ブードゥーの方のではなく「リビング・デッド=人肉を喰う屍体」の方であることは云うまでもない。これの元祖が『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』であることも云わずもがなであろう。そして、この「リビング・デッド」を初めて我が国に紹介したのは、同じ監督の『ゾンビ』かと思いきや、さにあらず。実は本作なのである。

 内容は『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』のイタリア流リメイク、つまりパクリである。しかし、劇場で観た時はそんなことは知らないので、その斬新さに驚かされた。その後『ゾンビ』を観た時は『ゾンビ』の方がパクリかと思った。
 が、今こうして見直してみると、テンポの悪さが目立つ。ゾンビの存在を警察に主張するもまったく信じてもらえない主人公がもどかしく、まるで『リング』を見た後に『らせん』を見せられる観客のような気分になる。ゾンビの存在を既成事実として話を進めた『ゾンビ』が如何に巧妙であったかを思い知らされる。
 要するに「動物パニック映画」のような物語展開なのである。
 なにか変なことが起こっていて、それの原因が鳥だか鮫だかミミズだかで(本作の場合は蘇った屍体)、それに気づいた主人公が「なんとかせねば!」と頑張れども誰からも信じてもらえず、結局、最悪の結末を迎える。挙げ句の果てに、大惨事の張本人と勘違いされて射殺される主人公。最後に主人公が蘇って、自分を射殺した刑事を食べに行くオチがついてチョン。

 ところで、本作は我が国では「悪魔シリーズ第3弾」として公開された。第1弾は臓物フェチのフランケンシュタイン博士が無茶をする『悪魔のはらわた』、第2弾は御存知チェーンソーのキチガイ大暴れの『悪魔のいけにえ』という異常に濃いラインナップで、これだけの濃さはもう二度とありえないだろう。


↑このおっちゃんがいい味出してます。


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