コリン・ウィルソン著《世界不思議百科・総集編》によれば、「ゾンビ事例」を初めて欧米に報告したのは、黒人の人類学者ゾラ・N・ハーストン女史である。彼女の記録によれば、1936年10月、アーティボナイト地区を裸でさまよっている女性が保護された。名はフェリシア・フェリス・メンター。彼女は1907年、29歳の時に死亡し埋葬されていた。病院で療養中の彼女を訪れたハーストン女史は、その時の模様を「眼は死んで顔は無表情、まぶたは酸で焼いたように真っ白だった」と述べている。 アルフレッド・メトローが著書《ヴードゥー》の中で紹介する事例は、まるでよく出来た怪談である。 こうした「ゾンビ事例」は、これまでは単なる迷信として片付けられていた。しかし、今日では科学的に証明しようとする者が現われている。その代表格がアメリカの人類学者、ウェード・デイヴィスである。 |
デイヴィスを調査に駆り立てたのは、1980年に起ったナルシッスの事件であった。 早速、ハイチに渡り調査を始めたデイヴィスは「ゾンビ」は「死者の蘇り」ではないことを確認した。彼の調査によれば「死者の蘇り」のように見えるトリックは以下のようなものであった。 |