FBIの捜索も空しく、パティたちの行方は一向に知れなかった。ところが、ひょんなことから彼らのアジトが知れた。それはノータリン・パティのちょっとしたドジの賜物であった。 5月17日、SWATの狙撃部隊を含む総勢374名の武装警官がグルリとアジトを取り囲んだ。多勢に無勢、もう逃げ場はなかった。テロリストごっこに従事するお坊ちゃんお嬢ちゃんたちは降伏よりも討ち死を選んだ。やあやあ、遠からん者は音にも聞け。近くば寄って眼にも見よ。我こそは元トップレス・ダンサー、ファハイザちゃんなのよお、ドッキューン。最初に発砲したのは「ファハイザ」ことナンシー・ペリーであった。それからは乱射乱撃雨あられ。催涙弾は乱れ飛び、ヘリは空から爆弾を落とす。ファハイザちゃんは哀れハチの巣。アジトはあっという間に劫火に包まれ、一巻の終りを悟った「陸軍元帥」は己れの頭を銃で打ち抜く。唯一カミリア・ホールだけが火の海から這い出したが、その脳天はSWATの標的に収まっていた。 あれ?。パティは?。 |
パティたちの逃げ足は早かった。屍体を数えたFBIがパティがいないことを気づいた頃には、3人はペンシルヴァニアに高跳びしていた。しかも、カセットテープは既に発送済みだ。パティはここで同志の死を賛えると共に、報復を高らかに宣言した。 「偉大なるSLAの精神は不滅である。私は自由のために闘い続けることをここに誓う」。 とはいうものの、現在の彼らは報復には役不足だった。銃器を仕入れると、パティはこれらの熟練に勢を出した。毎日のように4マイルもの荒野を走り、テロリストとしての体力を蓄えていった。 |
逮捕直後の「タニア」ことパティは過剰なまでに挑発的だった。握り拳を突き上げてこれを挨拶とし、職業を問われて「都市ゲリラ」と答えた。しかし 所詮はお嬢さま。両親に会わされるとグズグズになった。「タニア」の人格は消えて無くなり、改めて職業を問われると「無職」と答えた。 パティ・ハーストは本当に洗脳されていたのだろうか?。 |