マスターズ・オブ・ホラー/悪夢の狂宴
TWO EVIL EYES

伊 1990年 120分
監督 ジョージ・A・ロメロ(第1話)
   ダリオ・アルジェント(第2話)
原作 エドガー・アラン・ポー
特殊メイク トム・サヴィーニ
出演 ハーヴェイ・カイテル
   エイドリアン・バーボー
   サリー・カークランド
   E・G・マーシャル
   マーティン・バルサム
   キム・ハンター


 ポーの短編を現代風にアレンジしたオムニバス作品。『ゾンビ』を放ったロメロとアルジェントが12年ぶりにタグを組んだ話題作だったが、いずれファンにとっても物足りない、中途半端な仕上がりとなった。

 まずは、ロメロが監督した『ヴァルドマー事件の真相』。臨終の人間に催眠術を施すことにより、どれだけ延命させることができるかを描いた原作に、遺産を巡る愛憎劇を加味し、最後には観客の期待通りにゾンビ登場で幕を降ろすが、出来はあまりよろしくない。この程度の話に1時間は長過ぎる。ロメロが製作していたTVシリーズ『フロム・ザ・ダークサイド』の30分枠がちょうどいい長さである。
 それに、ゾンビがワンサカ出てくる映画で名を成したロメロの監督作だ。最後にちょっぴり出てくるだけでは期待はずれである。

 続いて、アルジェントが監督した『黒猫』。妻を殺してしまった男が、黒猫の怨霊により破滅する物語だ。基本線は原作と同じだが、主人公を屍体専門のカメラマンにしたことでアルジェントの猟奇趣味が炸裂。『陥穽と振子』をモチーフにした凄惨な殺人現場も登場し(左写真上)、
「この人、本当は屍体が撮りたかっただけなんじゃないか?」
 しかし、ハーヴェイ・カイテルの名演に助けられて物語は破綻なく進み、オチも鮮やか。『黒猫』の映画化としてはまずまずの出来栄だが、アルジェントの監督作にしては物足りない。
 美少女イジメがないからだ。

 ゾンビと美少女イジメで名をなした監督には、ポーのような古典は不向きなのかも知れない。


関連人物

ジョージ・A・ロメロ(GEORGE A. ROMERO)
ダリオ・アルジェント(DARIO ARGENTO)


 

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