ダリオ・アルジェント
DARIO ARGENTO
(1943-)

《監督》
*歓びの毒牙(1969)
*わたしは目撃者(1970)
*4匹の蝿(1971)
*サスペリアPART2(1975)
*サスペリア(1977)
*インフェルノ(1980)
*シャドー(1982)
*フェノミナ(1984)
*オペラ座/血の喝采(1988)
*マスター・オブ・ホラー/悪夢の狂宴(1990)
*トラウマ(1992)
*スタンダール・シンドローム(1996)
*オペラ座の怪人(1998)
*スリープレス(2001)
*デス・サイト(2004)


 御存知「イタリアン・ホラーの帝王」であり、この人をエド・ウッドなんかと並べていると怒り出す人がいるかも知れない。しかし、私はこの人の作品のほとんどが「最低」だと確信している。以下、理由を述べる。

 まず、『インフェルノ』のホットドッグ屋の親父に代表される無意味な殺戮シーンの数々。彼の頭の中には殺しの映像電波が大量に流入するのであろう。それを映像化するために映画を撮っているといっても過言ではない。だから、物語とはほとんど関係ない殺戮シーンが突如として現れ、観客を大いに悩ませることになるのである。

 次に、『シャドー』に代表される不可解な物語。前述のように、彼の主眼は殺戮電波の映像化であるから、物語は繋ぎのようなもの。大して重要ではない。にも拘わらず、この人は不可解な動機と犯人を設定したりする。物語はどんどん不可解な方向に暴走し始め、結局、見終わっても何が何やら判らないという事態が生じる。

 そして、『フェノミナ』に代表される少女いじめ。ジェニファー・コネリーを屍肉と蛆だらけの水槽に突き落としたり、その目の前で父親の首を切断したり、病気だぜ、この人(註:実は父親ではないらしい)。『トラウマ』では実の娘のアーシアにゲロ吐かせたり裸にしたり、最後にその目の前で母親の首を切断したり(首を切るのが好きな人だ)、娘相手に何してるッて怒りたくなってくる。

 しかし、最後にこれだけは云っておきたい。だからこそ、最低だからこそ彼の映画は素晴らしい。こんな変な映画ばかり撮り続けてきて巨匠扱いされる人は、他にはいないからだ。


関連作品

歓びの毒牙(THE BIRD WITH THE CRYSTAL PLUMAGE)
わたしは目撃者(THE CAT O'NINE TAILS)
サスペリア(SUSPIRIA)
インフェルノ(INFERNO)
シャドー(TENEBRE)
デモンズ(DEMONS)
オペラ座・血の喝采(OPERA)
マスターズ・オブ・ホラー/悪夢の狂宴(TWO EVIL EYES)
トラウマ/鮮血の叫び(TRAUMA)


 

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