血の祝祭日
BLOOD FEAST

米 1963年 70分
製作 デビッド・F・フリードマン
監督 ハーシェル・ゴードン・ルイス
出演 コニー・メイソン
   トーマス・ウッド
   マット・アーノルド


 この映画、誰がどう見ても最低である。演出がシロウトなら役者もシロウト。カット編集はほとんどなく、ただ棒読みの出演者を延々と撮るだけである。動きがあるシーンはラストの追いかけっこのみ。それも、びっこの犯人を健常者の警官が10人で追いかけども追いつけないというシュールな編集で見せてくれる。そんな酷い映画が我が国でもDVD発売されるのにはわけがある。
 この映画、世界で初めてはらわたを見せたのである。

 監督のハーシェル・ゴードン・ルイスは、当初は英語の教師という堅い職についていたそうだが、どういうわけかシカゴの映画館のオーナーとなり、自ら映画製作を始めた。ハリウッドに勝つためにはハリウッドではやっていないことを、というのがインディペンデントの鉄則。まずはヌード映画から始めたが、斜陽のハリウッドはヌード映画にも参入。こりゃアカン。エロがだめならグロってんで、はらわたをドバッと見せる本作を撮った。大ヒットしたそうである。


 物語は極めて単純だ。エジプト料理店を経営するラムジーズは、古代エジプトにおけるイシュタール信仰の信奉者。しかも、自らを高僧の生まれ変わりだと信じていた。そんな折、彼にパーティ用の仕出しの注文。いにしえの「生贄の晩餐」を復活させる絶好のチャンスとばかりにラムジーズは「食材集め」に街に繰り出すのであった。
 ラストは極めて後味が悪い。犯行が発覚し警察に追われたラムジーズは、ゴミ清掃車の中に逃げ込む。運転手はそうとは知らずにスイッチオン。
 くしゃ。
 簡単な音とともにラムジーズは潰れる。清掃車からしたたり落ちる肉汁のアップでジ・エンド。最後に刑事が一言、
「感謝するよ。街のゴミを始末してくれた」
 いいのか?、刑事がそんなこと云って。


関連人物

ハーシェル・ゴードン・ルイス(HERSCHELL GORDON LEWIS)


 

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