ファンタズム IV
PHANTASM IV

米 1998年 95分
監督 ドン・コスカレリ
脚本 ドン・コスカレリ
出演 マイケル・ボールドウィン
   レジー・バニスター
   アンガス・スクリム
   ビル・ソーンベリー


 2作目以降、怪奇映画からアクション映画に推移していた本シリーズであったが、トールマンに扮するアンガス・スクリムの老い先が短いことを悟ったのか、いよいよ「まとめ」に入った。1作目のフィルムを再利用して、一連の脈絡のない物語の辻褄合わせを始めたのである。

 前回、トールマンに捕われて頭の中に殺人ボールを埋め込まれたマイクは、レジーたちを巻き込まないようにと姿をくらます。そして、トールマンに誘われるままに死の谷に辿り着く。荒涼とした大地に一人佇み、無意識を掘り起こしていくうちに、マイクは少年時代にトールマンの命を救ったことを思い出す(もちろん、そんなシーンは1作目にはなかったが、CGで再構成されている)。
 そして、時間を逆行するうちに、まだ善人だった頃のトールマンと対面する。彼は民間の発明家で、時空を行き来する「どこでもドア」のような装置を研究していた。
 どうやら、彼はマイクと出会ったことでこの装置を完成させたようなのだ。
 ということは何かい?。このシリーズは「命を狙われる者が命を狙う者の創造主だった」という永井豪の『手天童子』のようなおはなしなのかい?。
 おっと。結論を出すのは早計である。シリーズの辻褄合わせ、否、謎解きは現在製作中の完結編『PHANTASM'S END』の公開を待つことにしよう(註1)。


 しかし、完結編でもうまく完結できるとは思えないなあ。繋ぎである本作でも、場当たり的な脈絡のなさがフルスロットルなのだよ。
 例えば、前作から登場した殺人ボールのお兄ちゃん。弟のマイクを導く先達役だったが、本作ではあっさりとマイクを裏切って、トールマンの下僕と化してしまうのだ。
 観客席の我々はこんな顔↓

「なんじゃこりゃ!。なんじゃこりゃ!」と唖然とさせられっぱなしの『ファンタズム』だが、俺は好きだよ。愛してるよ。

註1 『PHANTASM'S END』は資金不足で製作中止になってしまったようである。現在、コスカレリ監督が予算に合わせて脚本を書き直しているようだが、早くしないとトールマンが死んじゃうぞ。


関連作品

ファンタズム(PHANTASM)
ファンタズムII(PHANTASM II)
ファンタズムIII(PHANTASM III)


 

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